湯水の如く湧いて出た汚らしい欲望という名の汁は
ジワ・ジワ・ジワ・ジワ・ジワ・ジワ・ジワ・ジワと心を
蝕んでいった 啄んでいった 返す刀でさらっていった
そう 講堂の屋根の下 真っ黒い服を着た 変わった連中
地下鉄向かい側に座った 見るも淫らな女の脚
空気が集まってパチンと 弾ける瞬間を見た時だ

言葉は虚空を彷徨って、俺の手に戻るまで数十年はかかるだろう。

地球が廻って星の彼方に消える時 目の前に見えたのは
教師の泣き顔 紅く染まったケシの花 逆恨みした影踏み親父の顔だった

―中学生の頃の話。

四方に顔を向けても 肝心なものは 姿を消して行く
毒気を抜かれて 白い手のひらに ジュースが落ちた時さ 落ちた時さ

「わかんねえなら教えてやろうか」と君は言う
寿司屋の地下の喧騒の中 大きな音が鳴り響いた
流れる景色に業を煮やした男の群れが 何かを叫んで悦に入る
「失う景色、消える感覚、戻れない場所」
そんな光景の中で僕は
薄暗い壁際に立っている君と僕は
「悔やんでいたって仕方ない」という選択肢を選ばざるを得なかった

―中学生の頃の話。

二十歳を過ぎれば 何も分からなくなって 消えてしまうんだって
水際で僕は 必死にもがいているのに 回転を増した車輪の上

サボテンの棘の奥の奥が 疼いた街灯の真下で
決まって涙が出ないのは やられちまった証拠で
覗(除)いたが最後無くなった ちょっと待っての向こう側
消えそうなか細い心を引きずって ただ ただただ歩いた

茶色いスピーカーの上 置き去りになった白い花
切れ目の入った繊維に 僕はただ涙も枯れそうで
帰りの道に差し掛かって 薄暮と枕を供にして
光が消えるまで 立ち尽くして

見て居たかったのに!

サボテンの棘の奥の奥が 疼いた街灯の真下で
決まって涙が出ないのは やられちまった証拠さ
覗(除)いたが最後無くなった ちょっと待っての向こう側!
消えそうなか細い心を引きずり僕は

僕は!

ただ ただ 思い出としてそれを
重い 思い出としてそれを
重い 思い出としてそれを
ほんの昔の話だと(言った)。