三十分もすれば、傷んで、砕けて、お仕舞いだ。
九十分もすれば、空に浮かんで消えちまわあ。
当たり前のように、昔のように、
零れ落ちる涙一つも見せずに
二歳の頃に、戻ったように、くだらねえこと考えずに消えたさ。


陰鬱な午後の空気。
雲間から射す光が、無数に反射して影を縫う。
裏から抜け出して彼を刺す。
フッと意識を消した時、目の前のものがハッキリ見えるように、
光も影も蹴飛ばせ。
右も左も、蹴飛ばせ。


ぐるぐる廻って、やせ細った心を
ジャラジャラしたって どうあがいたって
フラフラ歩いて そうはいかねえって

影を踏むだけ

光に飛び込むだけ


パンタグラフの擦れる音を聞いたとき目の前に見えていた、
苔むした灰白色の壁を思い出しながら眠りについていく。
瞼を突き抜ける光に一瞬唖然としながら、
しかしそれが自分に見えている風景の全てだという事に薄々感づいていた八年前の夜、
戻れない場所と前に見える景色をどちらもいとおしく思いながら、瞼を閉じたままにしていた。


グラウンドの回旋塔のように、勢いよく廻りだし、高く上っていく人の運命!


心に 皮はついたまま いつしか遮断したのさ
薄っぺらな皮一枚で 心をいつしか遮断したのさ
動いてるのも気だるけりゃ 止まっているのもかったるい
ゴーガンの壁に阻まれて フルフェイス被った人でなし
東京の北を歩いて ネオンとタイルに包まれて
錆びたフェンスに心をいつしか 奪われたのさ

「未来は、絵空事のように、
ぐるぐる廻って、
影の彼方に消えていった」


それでも前に進んで行くんだ。
引きずられるようにして行くんだ。
心の隅を、守って行くんだ。
自分の城を、守って行くんだ。
帰りの列車を、待たず行くんだ。
帰りの列車を、待たず行くんだ。
帰りの列車を、待たず行くんだ。