窓を開けると草木も眠る、鬱蒼とした夜が広がって
手前勝手な僕は何度もハンドルを握りなおした
陽が沈んで、歪んだ夜の香り 力んで刻んだ猿の彫刻を見つめながら問う。
「もしかして、日々はもう帰らないのか」と。
振り向いた先、赤い光が鏡に吸い込まれていった!
一寸先ははぐれた闇、問い詰めて繰り返す冬の夜
向き直った君は切羽詰った、心をにわかに照らし出した
カチカチになった頭の狭間はかたばみの様で
そう思ったが最後歯車が回り、あらぬところへ僕を連れてゆく。
倍の倍の倍の倍、になった荷物を降ろしたとき
僕の人生も思わぬ最後を迎えるだろう
怖気づいた君は向こうを向いて、何もいわずにずっと立ちすくむ
君は、いつものように飛び乗って
それを「いつものことだ」と言う
それは冗談、それは冗談、それは冗談、軽い冗談
君は、いつものように飛び乗って
それを「いつものことだ」と言う
それは冗談、それは冗談、それは冗談、儚い冗談
灰だらけの猫のような人々はいつも
夜目を効かせて他人を観察する、感覚を鋭くさせて!
そう、人並みに睫毛を伸ばし髭を伸ばし人並みに肌の手入れをしながら
空虚な心を埋める。三つ不埒な悪行三昧、毎度毎度のその態度
排除にだけは最高の笑顔を見せて!
今日も都会の夜は覚束ない
君は、いつものように飛び乗って
それを「いつものことだ」と言う
それは冗談、それは冗談、それは冗談、容易い冗談
君は、いつものように飛び乗って
それを「いつものことだ」と言う
それは冗談、それは冗談、それは冗談、悲しい冗談
そして僕は帰るだろう、真っ赤な夕陽の照りつける夢枕の日々へ
そして僕は疼くだろう、路地から路地へ抜ける足の痛みを
そして僕は壊すだろう、鳥のような目をした誘惑の数々を
そして僕は言うだろう、くだらない冗談はドアの向こうに捨ててしまえばいい
そして僕は帰るだろう、真っ赤な夕陽の照りつける夢枕の日々へ
そして僕は疼くだろう、路地から路地へ抜ける足の痛みを
そして僕は壊すだろう、鳥のような目をした誘惑の数々を
そして僕は言うだろう、あれも冗談、これも冗談
一切合切、冗談だと!
蝉の声を思い出したときあたりは既に瓦礫の山。
どうしようもない悲しみが周囲を埋め尽くして
涙を受ける皿も見当たらないから、僕は悲しい冗談を言う。
灰だらけの猫のような人々は泥だらけになって朝を迎えるが
それでも僕は叫ぶだろう、真っ黒い日々に一人飲み込まれながら
真っ白い部屋で一人影を踏みながら
真っ赤な情熱を一人燃やし続けながら
真っ青な水面の下でもがき続けながら
それでも僕は、叫ぶだろう。